色彩トピックス

” 暮らしを愉しくする色のあれこれ ”

 

何のために色彩を学習しますか?

  • 作成日:2020/09/30

  • 更新日:2020/10/02
  • 色彩の学習と聞いて思い浮かべるのはどのようなものでしょうか?

    一番初めに思い浮かべるのは検定試験かもしれませんね。色彩に関する主な検定試験には次のようなものがありますよ。



     
    • 色彩検定®(URL
    • カラーコーディネーター検定試験®(URL
    • 色彩技能パーソナルカラー検定®(URL
    • 色彩士検定(URL
    • 色彩活用ライフケアカラー検定(URL
    • 色彩活用パーソナルカラー検定(URL

    パーソナルカラーに関する検定試験は2つありますね。色彩検定とカラーコーディネーター検定試験も似ていますよね。


    それぞれの試験内容については割愛させていただきますが、当サイトを運営しているカラーオンでは、試験を受けて色彩の学習をされる方も、どの試験も受けずに色彩を学習される方も、最終的には自分自身や自分と関係する人と楽しいコミュニケーションを実現するために色彩を活用してほしいと考えています。
     
    私たちは古くより色彩を使ってきた
    色ってそもそも何なのでしょう。

    科学的には、色は「照明などの光やその光が対象物(りんごなど)に反射した光で、眼によって知覚されるもの」ということになります。ニュートンがプリズムを用いて光の中に色があることを導いたわけですが、そのニュートンの時代よりもず~~~~っと前から人間は色を使ってきました。





    歴史の教科書に出てくるラスコーやアルタミラの洞窟壁画、日本では高松塚古墳の壁画は、多くの方が一度はご覧になったことがあると思います。そんな古くから人は色を使って絵を描き、そこに何らかの想いを込めてきました。


    そして古代、中世、近現代と色を作り出す技術を進化させて、文字通り色々な色を楽しむ文化を発展させていきます。そして文化の発展・継承とともに、色に抱く印象や思いも受け継いできています。
    色彩の発展、色彩文化の発展
    科学的に色を解明することに取り組んでいる研究者・専門家の方々にとって、色は光学的、あるいは生物学的な研究対象です。色はそういった自然科学の研究対象としてとても興味深く、その成果は社会に有益な効果をもたらしてくれています。


    例えば、色覚特性(男性で約5%、女性で0.2%が該当すると言われている)への理解が乏しかった時代にはユニバーサルデザインの観点にも乏しく、その研究が進むにつれストレスフリーで安全性の高いカラーデザインが広まっています。色彩検定®にもUC級ができましたね。

    ※色覚特性によって各色の見え方が異なることのイメージ。赤、橙、黄、緑、青、紫の各色の違いは色覚特性によって異なる色に見えます。

    また色は感情に働きかけます。植物が光合成をするように光が皮膚を通じて直接的に感情に影響を及ぼしているのかもしれませんが、見た色自体が脳内で処理されるときに思考や記憶に影響を与えると考えられます。

    記憶は視覚(イメージ)とともに脳に定着します。そのため、図やグラフしかも色で区分けされた図やグラフを用いたときの記憶は、文字だけのときや言葉(音声)だけのときよりも記憶の定着がよいとされます。そのことから心地よいポジティブな記憶を強く残すために色を活用することができるでしょう。





    四季折々の色を持つ日本の風土では、その変わりゆく色に着目して文化が花開きました。特筆するべきは平安時代、紫式部の源氏物語に代表される色彩表現の数々は、現在においても多くの人にポジティブな記憶と感動を与えています。




    同時代には襲の色目など色彩感覚が発展し、武士の時代になっても色彩文化は健在。江戸時代になっても「四十八茶百鼠」といって、奢侈禁止令が発動される中、地味な色でも”粋な”色彩文化を楽しみました。文明開化後の和洋折衷、現代においても色彩文化が花を開いています。 私たちは色の心理的な影響を使って生活を楽しくしてきました。
    色彩の学習とは
    デザイナーなど、職業のために配色理論を学習している人以外の人は、何のために色彩を学習するのでしょうか。


    カラーオンでは「色彩はコミュニケーション」ととらえています。配色技法を学習して多くの人に心地よい配色を提供できることは大切ですが、より多くの人にポジティブな記憶を提供するには、色彩心理など色彩が与える影響を理解することが大切です。





    パーソナルカラーの学習を行うと見た目が改善し、よりよい印象で心地よいコミュニケーションができるようになるでしょう。しかしそれだけではなく、色が持つ意味や与える影響を理解して色を選ぶことが大切です。


    色彩心理を学習する過程で、人類あるいは動物が永く経験しDNAにまで染み込んでいる色彩の感覚、日本文化における色彩感覚、そしれ個々人の経験に基づく色彩感覚を理解することができます。


    それらのことを理解して色を使うことで、自分が意図したことと相手が受け取ることの相違を少なくし、心地よいコミュニケーションを実現する助けになります。





    自己表現・他者理解にはTPOの視点が不可欠です。TPOが異なれば同じ言葉でも、同じ服装でも、同じ色でも、その人や周囲の人にとって意味合いが異なります。色彩学習の目的も最終的には「TPOに合わせてどのような色彩を使い、どのようなコミュニケーションを図るのか?」ということだと考えています。


    心地よい配色技法を学び、色彩の心理的・生理的作用を学び、自分らしさを表現できるTPOに合わせた色彩感覚を身につけること。それが職業として色彩を学習するのではない人にとっての色彩の学習だと考えています。


    色彩の科学的側面・文化的側面を理解して、その色彩から連想するイメージの幅を広げることが大切ではないかと考えています。多様な場面において、色彩に多様な意味を見出し、柔軟な思考で最良のコミュニケーションを取ることができれば、人生を豊かに楽しく過ごせると思いませんか?検定試験だけではない、TPOの視点を持った色彩の学習が人生を豊かにすると思います。
    ライター・編集者

    カラーオン Mitsuru

    カラーコーディネーター

    自転車店勤務時代にウェブデザイン・チラシデザインの制作、オリジナルデザイン自転車(TVドラマでも使用)の企画を担当したことから色彩の世界へ。 「色彩が社会を元気にする!」をモットーに、多くの人が色・コーディネート・デザインを楽しめるようにコンテンツをご提供しています。
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