色彩トピックス

” 暮らしを愉しくする色のあれこれ ”

 

肥後象嵌(肥後象嵌)とは・・・伝統工芸品展(小田急百貨店新宿本店)

  • 作成日:2020/09/01

  • 当サイトの色名一覧でもさまざまな日本の伝統色をご紹介していますが、色彩は文化・歴史と密接に関係しています。日本でも世界でも洞窟壁画に始まり、庶民も位の高い人たちも、それぞれの時代に色彩の特性を利用して文化を形成してきました。


    色で魅了することは今も昔も変わらず、モノづくりにも活用されています。先日、小田急百貨店新宿本店で開催されていた伝統工芸品展に行ってきましたので、いくつかの商品をご紹介いたします。
    肥後象嵌(ひごぞうがん)
    「くろ」にこだわりを持つ人は、ぜひ肥後象嵌(ひごぞうがん)を調べてみてください。肥後象嵌の始まりは鉄砲や刀の鍔で、黒色をしているのは表面を黒錆が覆っているからです。黒錆で覆われていると赤錆が発生しにくく綺麗に長持ちします。


    展示会には2001年から肥後象嵌を学び伝統工芸と現代の彫金技術を融合させて作品を作っている麻生さん(Instagram)が作品を展開されていました。


    黒錆の最上の色はしっとりと濡れたような質感の黒色で、麻生さんは特にそこにこだわりを持ち、深い黒色と硬く強い錆を出すためにブラシで擦って少しづつ錆を出していく作業を2、3週間程度毎日行っているということです。展示されていた商品は確かに、息を吐いて心が静まるようなしっとりと穏やかな黒色でした。


    その鉄の上に金銀の模様が鮮やかに打ち付けら、発色の良い、縁起のよい色合いになっていました。


     
    秋田、角館の樺細工
    次に目を引いたのは、秋田は角館の樺細工です。古くは胴乱や印籠などにしようされ、現在では茶筒に使用されている「型もの」、硯箱や文箱などに使用されている「木地もの」、ブローチや帯留めなどに使用されている「たたみもの」が展示されていました。


    樺(桜皮)の独特な文様は一つ一つ異なる表情になっていて、模様の変化に自然と惹きつけられます。世界に一つしかないその模様を楽しむことが樺細工の最高の楽しみ方で、自分だけのオリジナルの模様を見つける楽しさも、また一興ですね。


    展示品は、髪飾り、マウスパッド、ペーパーナイフ、名刺入れなど様々な商品が展示されていました。写真でペーパーナイフの台座になっているのがマウスパッドです。文字通り機械的なパソコンの中デジタルの世界を操作するときでも、リアルな自然の温もりを感じていたいものですね。

     
    その他
    そのほかにも津軽塗や大島紬、八王子織物、一位一刀彫、房州うちわ、山形鋳物など様々な伝統工芸品が展示されていました。


    鮮やかな色、濃い色が目立つ中、砥部の青白磁もの展示されていました。青白磁はうっすらと青い、表面ではなく中の青が透き通って見えているような、ぼんやりとした穏やかな色が特徴的ですね。


    黄磁も1つ置いてあり、穏やかな色味の違いを楽しむことができました。

     
    ライター・編集者

    カラーオン Mitsuru

    カラーコーディネーター

    自転車店勤務時代にウェブデザイン・チラシデザインの制作、オリジナルデザイン自転車(TVドラマでも使用)の企画を担当したことから色彩の世界へ。 「色彩が社会を元気にする!」をモットーに、多くの人が色・コーディネート・デザインを楽しめるようにコンテンツをご提供しています。
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